Windowsのshell:コマンド完全ガイド

Windowsのshell:コマンド完全ガイド

Windows 11で利用可能な「shell:」コマンドの網羅的な調査結果をまとめました。これらのコマンドは、Windows+Rの実行ダイアログやエクスプローラーのアドレスバーで使用することで、特定のフォルダや機能に直接アクセスできる便利な機能です。

shell:コマンド一覧（アルファベット順）

A

shell:AccountPictures ( 使わない )

  • 機能: ユーザーアカウント画像フォルダにアクセス
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\AccountPictures
  • 対応OS: Windows 11
  • 用途: アカウント画像の管理とカスタマイズ

shell:AddNewProgramsFolder ( 使わない )

  • 機能: プログラムの追加と削除コントロールパネルを開く
  • パス: Control Panel\All Control Panel Items\Get Programs
  • 対応OS: Windows 7/8/10/11
  • 注意: Windows 10/11では設定アプリに統合済み

shell:AppData

  • 機能: アプリケーションデータ（ローミング）フォルダにアクセス
  • パス: %AppData% (通常 C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming)
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 高（トラブルシューティングで頻繁に使用）

shell:AppsFolder

  • 機能: インストール済みアプリケーション一覧を表示
  • パス: Applications フォルダ（仮想フォルダ）
  • 対応OS: Windows 8/10/11
  • 用途: UWPアプリのショートカット作成、アプリ管理

B-C

shell:CameraRoll ( カメラアプリが必要 )

  • 機能: カメラロールフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Pictures\Camera Roll
  • 対応OS: Windows 8.1以降
  • 用途: スクリーンショットや写真の管理

shell:CDBurning

  • 機能: CD/DVD書き込み用一時フォルダ
  • パス: %LocalAppData%\Microsoft\Windows\Burn\Burn
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 光学ディスク作成時の一時ファイル管理

shell:Common Administrative Tools

  • 機能: すべてのユーザー共通の管理ツールフォルダ
  • パス: %ProgramData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Administrative Tools
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 権限: 管理者権限推奨

shell:Common AppData

  • 機能: すべてのユーザー共通のアプリケーションデータフォルダ
  • パス: %ProgramData%
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: システム全体の設定とデータ管理

shell:Common Desktop

  • 機能: すべてのユーザー共通のデスクトップフォルダ
  • パス: %Public%\Desktop
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 全ユーザー向けショートカットの配置

shell:Common Documents

  • 機能: パブリックドキュメントフォルダ
  • パス: %Public%\Documents
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 共有ドキュメントの保存

shell:Common Programs

  • 機能: すべてのユーザー共通のプログラムメニューフォルダ
  • パス: %ProgramData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: システム全体のプログラムショートカット管理

shell:Common Start Menu

  • 機能: すべてのユーザー共通のスタートメニューフォルダ
  • パス: %ProgramData%\Microsoft\Windows\Start Menu
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: システム全体のスタートメニューカスタマイズ

shell:Common Startup

  • 機能: すべてのユーザー共通の自動実行フォルダ
  • パス: %ProgramData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\StartUp
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 高（システム起動時の自動実行設定）

shell:ConnectionsFolder

  • 機能: ネットワーク接続設定を開く
  • パス: Control Panel\Network and Internet\Network Connections
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ネットワーク接続の設定と管理

shell:Contacts

  • 機能: 連絡先フォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Contacts
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: Windowsアドレス帳の管理

shell:ControlPanelFolder

  • 機能: コントロールパネルを開く
  • パス: Control Panel（仮想フォルダ）
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 注意: Windows 11では設定アプリの使用を推奨

shell:Cookies

  • 機能: Internet Explorerクッキーフォルダ
  • パス: %LocalAppData%\Microsoft\Windows\INetCookies
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ブラウザデータ管理

D-F

shell:Desktop

  • 機能: デスクトップフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Desktop + %Public%\Desktop（統合表示）
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 高（最も頻繁に使用されるコマンドの一つ）

shell:Downloads

  • 機能: ダウンロードフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Downloads
  • 対応OS: Windows 7以降
  • 重要度: 高（日常的に最も使用されるフォルダ）

shell:Favorites

  • 機能: お気に入りフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Favorites
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ブラウザのお気に入り管理

shell:Fonts

  • 機能: フォントフォルダにアクセス
  • パス: %SystemRoot%\Fonts
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: システムフォントの管理とインストール

G-L

shell:History

  • 機能: ブラウザ履歴フォルダ
  • パス: %LocalAppData%\Microsoft\Windows\History
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ブラウザ履歴データの管理

shell:Libraries

  • 機能: ライブラリフォルダを開く
  • パス: Libraries（仮想フォルダ）
  • 対応OS: Windows 7以降
  • 用途: ドキュメント、音楽、画像、動画ライブラリの管理

shell:Links

  • 機能: リンクフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Links
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: エクスプローラーのナビゲーションペインに表示されるリンク管理

shell:Local AppData

  • 機能: ローカルアプリケーションデータフォルダ
  • パス: %LocalAppData% (通常 C:\Users\ユーザー名\AppData\Local)
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 高（アプリケーション問題のトラブルシューティングに重要）

M-P

shell:My Music

  • 機能: ミュージックフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Music
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 音楽ファイルの管理

shell:My Pictures

  • 機能: ピクチャフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Pictures
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 画像ファイルの管理

shell:My Video

  • 機能: ビデオフォルダにアクセス
  • パス: %UserProfile%\Videos
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 動画ファイルの管理

shell:MyComputerFolder

  • 機能: PC（マイコンピュータ）を開く
  • パス: This PC（仮想フォルダ）
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ドライブとシステム情報の表示

shell:NetHood

  • 機能: ネットワークショートカットフォルダ
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\Network Shortcuts
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ネットワーク場所のショートカット管理

shell:Personal

  • 機能: ドキュメントフォルダにアクセス（shell:documentsと同じ）
  • パス: %UserProfile%\Documents
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 個人ドキュメントの管理

shell:ProgramFiles

  • 機能: Program Filesフォルダにアクセス
  • パス: %ProgramFiles%
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: インストールされたプログラムの管理

shell:ProgramFilesX86

  • 機能: Program Files (x86)フォルダにアクセス
  • パス: %ProgramFiles(x86)%
  • 対応OS: Windows Vista以降（64ビット版のみ）
  • 用途: 32ビットアプリケーションの管理

shell:Programs

  • 機能: 現在のユーザーのプログラムメニューフォルダ
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 個人のプログラムショートカット管理

Q-S

shell:Quick Launch

  • 機能: クイック起動フォルダにアクセス
  • パス: %AppData%\Microsoft\Internet Explorer\Quick Launch
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 注意: デフォルトで非表示、タスクバー設定で有効化可能

shell:Recent

  • 機能: 最近使用したファイルフォルダ
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\Recent
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 高（ファイル管理で便利）

shell:SavedGames

  • 機能: 保存されたゲームフォルダ
  • パス: %UserProfile%\Saved Games
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: ゲームセーブデータの管理

shell:Screenshots

  • 機能: スクリーンショットフォルダ
  • パス: %UserProfile%\Pictures\Screenshots
  • 対応OS: Windows 8以降
  • 用途: Print Screenで撮影したスクリーンショットの保存先

shell:SendTo

  • 機能: 送信先メニューフォルダ
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\SendTo
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 高（右クリックメニューのカスタマイズに重要）

shell:Start Menu

  • 機能: 現在のユーザーのスタートメニューフォルダ
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\Start Menu
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 個人のスタートメニューカスタマイズ

shell:Startup

  • 機能: 現在のユーザーの自動実行フォルダ
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\StartUp
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 重要度: 最高（Windows起動時の自動実行プログラム管理）

shell:System

  • 機能: Systemフォルダにアクセス
  • パス: %SystemRoot%\System32
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 権限: 管理者権限推奨
  • 用途: システムファイルとツールへのアクセス

T-W

shell:Templates

  • 機能: テンプレートフォルダにアクセス
  • パス: %AppData%\Microsoft\Windows\Templates
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: 新規作成メニューのテンプレート管理

shell:UserProfiles

  • 機能: すべてのユーザープロファイルフォルダ
  • パス: %SystemDrive%\Users
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 用途: システム管理とユーザー管理

shell:Windows

  • 機能: Windowsシステムフォルダにアクセス
  • パス: %SystemRoot% (通常 C:\Windows)
  • 対応OS: Windows Vista以降
  • 権限: 管理者権限推奨
  • 用途: Windowsシステムファイルへのアクセス

特殊なshell:コマンド（仮想フォルダ）

これらのコマンドは物理的なフォルダではなく、Windowsの仮想的な場所を開きます：

  • shell:ControlPanelFolder – コントロールパネル
  • shell:MyComputerFolder – PC（マイコンピュータ）
  • shell:NetworkPlacesFolder – ネットワーク
  • shell:PrintersFolder – プリンター
  • shell:RecycleBinFolder – ごみ箱
  • shell:AppsFolder – アプリケーション一覧

使用方法

基本的な使用方法

  1. 実行ダイアログ: Windows+R → shell:コマンド名 を入力
  2. エクスプローラー: アドレスバーに shell:コマンド名 を入力
  3. コマンドライン: explorer "shell:コマンド名"
  4. PowerShell: Start-Process explorer "shell:コマンド名"

実践的な活用例

  • shell:startup – 起動時に自動実行するプログラムの追加・削除
  • shell:sendto – 右クリックメニューの「送る」に項目を追加
  • shell:appdata – アプリケーションの設定ファイルやログファイルへのアクセス
  • shell:fonts – 新しいフォントのインストール
  • shell:recent – 最近使用したファイルの確認と整理

shell:コマンドの技術的背景

shell:コマンドは、Windows APIのSHGetKnownFolderPath関数とKNOWNFOLDERIDシステムに基づいて動作します。これらはレジストリのHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\FolderDescriptionsに格納され、既知フォルダ（Known Folders）システムの一部として管理されています。

注意事項とトラブルシューティング

権限について

  • システム関連フォルダ（System、Windows等）へのアクセスには管理者権限が必要
  • ProgramData配下のフォルダでも管理者権限が必要な場合あり

OneDriveとの統合

Windows 11でOneDriveの「フォルダーの保護」機能が有効な場合、一部のshell:コマンドはOneDriveパスにリダイレクトされます。

shell:コマンドは、Windowsシステムの効率的な管理とナビゲーションのための非常に強力なツールです。特にshell:startup、shell:appdata、shell:sendtoは、IT管理者やパワーユーザーにとって日常的に使用される重要なコマンドです。これらのコマンドを活用することで、Windowsでの作業効率を大幅に向上させることができます。