クリント・イーストウッドと「グラン・トリノ」

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ミリオンダラー・ベイビーではとてもとても切ない思いをしました。なので、クリント・イーストウッドの映画を観るのは少し躊躇していたのですが、もともと大好きなので、前半の彼のいまだに強烈な存在感にとても圧倒されてしまいました。

最初は物語では無く、「クリント・イーストウッド」を観ていました。しかし、少しづつ彼(主人公)の心情に自分自身が同調して行くのを感じていました。これであらためて、日本人でもあちらでも結局「古い人間」の内面は似たようなものだと素直に思いました。

たぶん脚本としても、あちらの人が「クリント・イーストウッド」に共感するように、周りの若い登場人物の人間像を少し誇張して表現しているとも思いますが、それはとても私自身へ伝わって来ました。でなければ、後半への展開は無意味なものへとなるはずですし。

物語に「必然性」を訴えてもそもそもナンセンスなのですが、この物語に矛盾を感じる事は無く、なるようになってしまったラストでは、何故か安堵感に満たされていました。これがミリオンダラー・ベイビーとは一番違ったところで、かつ歳をとったクリント・イーストウッドが描いた人間像にファンとしてとても納得した作品です。



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