IPAフォントライセンスv1.0 の骨子について

2016-02-21

IPAフォントと再配布の自由

とても簡単な事で、IPAフォントを元にして作成されたフォントは、IPAフォントと同じように、『再配布の自由を制限してはならない』という事です。 具体的に書かれている箇所は以下のとおりです。
3.3.3 Web等のだれもがアクセスできる方法により一般公開しなくてはならない。
派生プログラムを再配布する際には、作成した当該派生プログラムを一般公開しなければなりません。一般公開とは、当該派生プログラムを誰もが自由に入手できるようWeb等に公開することです。すなわち、派生プログラムを、ハードウエア製品等に内蔵させて配布する場合には、別途、Web等による一般公開が必要となります。また公開いただいた派生プログラムは、第三者の誰もが「IPAフォントライセンスv1.0」のもとで公開し再配布できることを明示してください。

この内容からも明らかですが、IPAフォントから作られたフォントは全て『誰でも自由に使えなければならない』という事です。言い換えると、勝手に追加の制限事項を派生プログラムが指定してはならないという事です。

これには実例があります

IPAフォントライセンスv1.0は非共存ライセンスと判明

この記事では、切り口が『共存』というところなので、この骨子とは少しズレた展開になっていますが、前述の骨子を前提に読んでいくととても内容が明瞭になっていきます。また、この内容には続きがあって以下のような記事もあります。

MigMixフォントのライセンス変更要求に関して

ここでは、『最も制約の厳しいライセンスが全体のライセンスと等しくなる』が中核ですが、結局 M+ と IPAフォントライセンスv1.0 をどちらも許してしまうと、矛盾が生じます。何故なら、 M+ では、派生プログラムに新たに制限を加える事は許されていますが、IPAフォントライセンスv1.0 ではそれは許されていません。つまり、矛盾が生じるわけです。

結論

オープンソースライセンスとして、継承されるものは全て元と同じ自由を保証しなければならないという事です。

8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止

プログラムに付与された権利は、それがある特定のソフトウェア配布物の一部で あるということに依存するものであってはなりません。プログラムをその配布物 から取り出したとしても、そのプログラム自身のライセンスの範囲内で使用ある いは配布される限り、プログラムが再配布される全ての人々が、元のソフトウェ ア配布物において与えられていた権利と同等の権利を有することを保証しなけれ ばなりません。 

IPAフォントライセンスはOSIによる「オープンソース定義(OSD)」に準拠したライセンスと認定されている。
(※ MigMixフォントのライセンス変更要求に関しての記事内より)

※ 元記事は 2015年03月28日 作成

▼ 以下 2015年08月08日 追記

では、WEBフォントとしてはどうか

結論として IPA フォント(または IPAフォントを元に作られたフォント)は WEBフォントとして使用可能です。ですが、利用の際に面倒なライセンス上のルールがあるので『使わないでおこう』と思わざるを得ない内容になっています。( 使える使え無いでいうと、IPA フォント自体や、IPA フォントを元にして作られたフォントは『自由に使えなければならない』というのがライセンスの骨子なので、使えて当たり前なんですけれど )

で、別に IPA である必要も無く、M+ フォントや他にいくらでも使える日本語フォントがあるわけですし。

それでも使おうという場合は、実際に IPA へ問い合わせた実績のもと記述された記事があるので参照して下さい。

WebフォントのCSSとライセンス記載まとめ